ここまで下谷神社大祭、浅草神社三社祭りと2回にわたり祭りの様子をお伝えしてきました。今回は少し趣向を変えて、神社と祭りの関係について考察してみたいと思います。
日本の街を歩いていると、ちょっとした路地裏でも鳥居や何らかの拝殿が建てられているものに出会うことができます。ちなみに、日本全国の神社の総数を皆さんはご存知でしょうか。日本人でも、なかなかその数を正確に答えられる人は少ないでしょう。
文部科学省は「宗教統計調査」というものを毎年出しており、それによると2023年における神社の総数は8万を超えており、先ほど例に出した小さな施設も含めると15万以上あるのではないかと推察されています。ちなみに比較のために色々な数字を並べてみると、仏教系のお寺の数は約7万6,500、キリスト教系の教会の数は約7,000、交番および駐在所の数は約1万3,000、コンビニエンスストアは約15万8,000、郵便ポストは約17万5,000です。これで神社が日本人にとって。いかに身近なものかお分かりいただけたでしょうか。
一方で日本人の生活に根差した祭りには色々な種類ものがあり、地域振興や町おこしを目的に自治体等が主催するものもあります。しかし、「祭り」の語源が「祀る」であるように、伝統ある有名な祭りの多くは神社が主催しており、神様の乗り物である山車や神輿が町内を周るものが多くなっています。日本三大祭りと言われているのは、京都の八坂神社の祇園祭、大阪天満宮の天神祭、東京の神田明神の神田祭ですが、いずれも神様を乗せた山車や神輿(大阪天神祭りは船)が町の様子を見て回るという行事が祭りの中心となっています。
では、日本人の祭りの起源は何か、皆さんはご存知でしょうか。712年にまとめられた日本最古の歴史書「古事記」に記載された「天の岩戸隠れ」であると言われています。太陽神である天照大神(アマテラスオオミカミ)は、弟である素戔嗚尊(スサノオノミコト)の乱暴ぶりに心を痛めたが天岩戸に隠れてしまいます。これにより世の中は暗く災いの多い世界となってしまったため、困り果てた八百万の神々は岩戸の前でどんちゃん騒ぎを行います。その楽しそうな様子に誘われて天照大神が岩戸から出てきて、世の中の明るさが取り戻されたという神話が祭りの始まりと言われています。
このような起源をもつ日
本の祭りは、無病息災や五穀豊穣といった地域の安定や繁栄を願い、神様に感謝をする庶民の儀式なのです。(次回に続く)
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(動画あり)【コラム:江戸・東京 歴史を超えて】浅草神社三社祭 いよいよ佳境へ!
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