本日、6月14日の日銀金融政策決定委会合で日銀は国債買い入れ規模を減額する方針を決定しました。今後1~2年をかけて減額を行う予定で、具体的な計画は次回の7月会合で決定されます。3月に終えた大規模な金融緩和策から、金利引き上げに向けてさらに一歩政策を進めた形となります。
世間では円安対策としてこの政策が有効か否かを見る向きが多いですが、①円安は止まるのか、②日本経済にどのような影響があるのかを考えてみたいと思います。
まず最初に押さえておきたいのは、為替取引における投機マネーの割合は9割を占めているという点です。円安の原因の1つは日米の金利差であると言われていますが、長らく日本がゼロ金利政策をとる中で、過去に日米の金利差が開いたことは何度もありますが、その際に円安にはなりませんでした。この点から見ても、今回の日銀の決定が将来の利上げに備えたものはいえ、それで円安は止まらないでしょう。
続いて、国債買い入れ規模減額が日本経済に与える影響です。日本国債の50%以上を日銀が保有しており、日銀の国債買い入れは市中に出回る通貨量を増やすことと同義です。日銀が国債買い入れを減額するということは、すなわち金融引き締めに向けてさらに一歩進めたということを意味します。
しかし、日本における現在の物価上昇は、コストプッシュインフレによるものであり、 需要が過熱していることによるものではありません。ここで金融引き締めを行うということは、実質賃金が下がり続けている国民生活および国内経済を痛めつける政策であることは明白です。国内総需要が伸びなければ、日本の産業の復活はあり得ず、折角のデフレ脱却のチャンスを逃すことになります。
このように、今回の政策決定会合で発表された国債買い入れは、円安を食い止める効果もなく、日本経済の低迷を長期化させる恐れがあると考えられます。
※国内企業に与える影響は?
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